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2007/08/01

CEAとPRA その2

2つのPRA part2

Bva_eye_sh

CPRA(病気の概要:参照 BVA/KC/ISDS Eye Scheme パンフレット)
中心性進行性網膜萎縮(Central Progressive Retinal Atrophy)網膜色素上皮ジストロフィー(R-PED: Retinal Pigment Epithelial Dystrophy)とも言われる。

主に網膜色素上皮が冒される病気で、網膜色素上皮細胞が機能不全となり、光受容体での脂質代謝を正常に行えなくなることで引き起こされます。光受容体が網膜の中央部分に集中しているために、中央部分が見えにくくなります。

BVA Eye Scheme においては、下記犬種が(発症がみられるとして)認定されています。
ボーダーコリー、ブリアード、ラフコリー、スムースコリー、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、シェルティ、コッカースパニエル(英)、スプリンガー、コーギー・カーディガン

12ヶ月齢頃から兆候を示しますが、通常は18ヶ月齢ほどで診断されます。早期における網膜電図(ERG)による記録では、異常は認められない。ワーキングドッグのオーナーでは、犬が明るい光の下では、作業がうまく行えないことで気づくことがあります。病気が深刻に進行するまでは、薄暗がりの環境下でなら仕事が行えるかもしれません。影響を受ける犬は中央の視覚障害を示すかもしれませんが、全盲にいたることは稀です。

と、まあ、こんな病気なのですが、前回の記事のDr. Acland氏はその論文で、興味深いことを述べています。曰く

・1970年代中ー後期において、オーストラリアとアメリカで、CPRAが完全に消失した。
・現在(1995年ごろ)、アメリカで繁殖された犬についてはCPRAは極めて稀である。
・Dr. Ron Riisが極度のビタミンE欠乏によってCPRAのような症状になることを証明。
・最近になって、1970年代のオーストラリアやアメリカと同じように、イギリスやヨーロッパでもCPRAは消えつつある。

これらの点をふまえ、Acland氏は「餌を家庭で作っていたものから市販のドッグフードに変えたのがオーストラリアやアメリカでは1970年代であり、ヨーロッパではもっと最近なので、そのこと(つまり市販のドッグフードに変えたこと)に関係すると結論せざるを得ない」と語っておられます。

また、BVAのアイパネリストの1人Bedford教授の研究では、「色素上皮細胞が正常に機能するためにはビタミンEが必要だが、この病気が、肝機能障害(liver deficiency )によりビタミンEの構成要素が網膜に運ばれなくなる結果生じるものである」とされています。

つまり、平たく言えば、CPRAはある種の栄養障害によって起こるもののようです。

では、その発生のメカニズムにどの程度「遺伝」がかかわっているのか?またその遺伝形式は?と調べてみましたが、力不足でよくわかりませんでした。Dr. Acland氏も、「全ての犬種において遺伝性であることは完全には証明されていない。」と述べています。ドッグフードへの移行で劇的に症例が減ったことから、欧米の眼科医たちは、CPRAは単に遺伝的なものではなく、ビタミンE代謝のような多くの環境要因があると考えているようです。

ということは、、ですね、、、CPRAを発症した犬のオーナーは、繁殖者側からの言い分として「あなたの育て方が悪かったからだ」という理屈が通る余地があるといことを、CPRAに関しては認識しておかなければならないかもしれません。

ですが、ここでも「遺伝性ではない」という証拠もまた「存在しない」のです。代謝異常を引き起こす「遺伝的素因」があることも十分考えられます。BVAのパンフレットは、「病気の継承は複雑で、環境要因(例えば、質の貧しい食事)は形質発現に影響を及ぼすかもしれません。しかし、詳しい情報が利用可能になるまで、影響を受ける犬と彼らの親類から繁殖しないように」とアドバイスしています。

これにより、ISDSではCPRAを発症した犬の子犬は登録できませんし、その両親犬の犬名や登録番号も毎年発行されるスタッドブックや、会報(最近は載ってないようですが^^;)にて公開されます。これは「遺伝的なものが疑われているからの措置である。」と考えるのが妥当でしょう。

これはあくまで私の私見、推測ですが、もしCPRAを発症した犬に遺伝的に不具合があるとしたら、「それは内科的なものであり、ある種の栄養不足により、何らかの代謝異常を引き起こす遺伝的素因があるかもしれない」と考えています。

CPRAはUSでは、ほとんど消滅したようですが、実はISDSの登録犬では、毎年ポツポツ見られるようです。2005年と2006年のスタッドブックはまだ見ていないのですが、2002~2004年のものでは、毎年1、2頭の発症犬が公開されています。

これは、、、あまり思いたくないことなのですが、かの国のワーキングドッグたちは、ペットではないので、中にはあまり良いとは言えない環境で暮らしている犬もいることは事実です。そういった犬たちの栄養状況がこの結果に現れているのかもしれません。推測ですが(T_T)  そう思ってみると、以前、都下 ザ・ボーダーコリークラブのHPで読んだ、KC(英国ケネルクラブ)傘下の単犬種クラブである、the Border Collie Club of Great Britainの重鎮、ダグラス・コリアー氏の弁。「2003年、ISDSの方法で検査した犬にCPRAが見られた。私の知る限りではイギリスのショードッグにはまだCPRAは見られない。」は、彼の皮肉なのかもしれないなぁ~と今頃気づいたりして(^^;)

さて、日本ではどうか? 私はそれほど心配することはないと思っています。現在の日本のフードの質が、ビタミンE不足を起こすほど粗悪なものではないと思いますし、近頃の家庭での手作り食といえば、色々と勉強して作っている方が多いですしね。ただ、未だに「ご飯とお肉だけ」みたいな食事がないわけではないので(^^;)、そういう場合は、発症の傾向がある上記の犬種では危険かもしれません。しかも、CPRAは視力が残る場合が多く、二次的な白内障等も起こさないことが多いようなので、発症していても気づかないオーナーがいるかもしれません。

不幸にも発症した場合でもCPRAであるなら、視力が残る可能性は低くなく、ビタミンEを補うことで、進行を遅らせることができるかもしれません。コンタクトレンズで有名なMeniconから出ている動物用の栄養補助食品(メニわんEye)などは、効果が期待できるかもしれません。

問題は、GPRAやCPRAと診間違いやすい、その他の病気と混同しないことではないかと思います。以前イギリスから日本に輸入されたワーキングラインのボーダーが、「寄生虫による創痕」により視力が低下していると聞いたことがあります。これはしばしば、GPRAと区別しずらいとされる、多発病巣性後天性網膜炎(FMAR)の1種であり、こういった点を厳密に診られる先生がいるかどうか?が一番問題だったりするかもしれません。

さて、このながぁ~い乱文を最後まで読んでくださった方。お疲れ様でした。ですが、まだ続きます(^^;) 次回はCEA(コリーアイアノマリー)についてです。

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