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2007/07/30

CEAとPRA

2つのPRA part1

7月は、CEA(コリーアイアノマリー)と、PRA(進行性網膜萎縮)というボーダーコリーに認められる主な遺伝性眼疾患について、改めて知識を整理し、また勉強できた月になりました。犬友のしばちゃんのこちらの記事も刺激になりました。いずれ、サイト内でコンテンツとしてまとめようと考えていまが、とり急ぎアップいたします。

まずPRAですが、ボーダーにおいては、全盲に至る進行性盲目萎縮症:GPRA(Generalised Progressive Retinal Atrophy)は、CERF(The Canine Eye Registration Foundation:US)においては「発症あるいはその疑いがある」という個体が報告されているようですが、これらの個体については、「病巣性/多発病巣性後天性網膜炎(FMAR)」等の後天性疾患の末期とPRAが非常に似た病体を示し、「厳密に診断されきれてないところがある」というのが現実のようです。

したがって、米コーネル大のDr. Acland氏は、「もしボーダーコリーにPRAがあるとすれば、ボーダーコリーに発症することが明らかになっており、真のPRAとまぎらわしいような後天的な疾患と厳密に区別する必要がある。ある犬種にPRAが存在することを確定するのに最低限必要な証拠は、発症した複数の犬について一貫した病態を示すと診断されることと、それらの発症した犬に遺伝性を支持するような血統上の関係が存在することである。ボーダーコリーについてはこのことは確定していない。」と述べておられます。(下記論文参照)
http://www.sheepdog.com/genetics/eyes.html

この主張、私にとっては今更ながらですが、大変インパクトがありました。PRAといえば、「犬の遺伝性眼疾患においては、ポピュラーな疾患であり、常染色体劣性遺伝する代表的な遺伝性の疾患」と理解していたからです。しかし、ある犬種にPRAと確定される症状を持った個体が現れたとしても、その犬種に「遺伝性のPRAがある」と断定するには、「発症した複数の犬について一貫した病態を示す」「発症した犬に遺伝性を支持するような血統上の関係が存在する」が証明されなければならず、それができないうちは、「突発性に起きた」という範疇を出ないということです。

なるほど、当たり前のことなのですが、PRAという疾患があまりに「遺伝性」としてポピュラーであるが為に、もしボーダーコリーにこの疾患と診断された個体が出たと耳にしたならば、「では、その両親はキャリアかもしくはアフェクテッドだ」と単純に断定してしまうところでした。しかし、ことボーダーコリーにおいては、未だ証明されていないということを、頭においておかなければならないと認識いたしました。

改めて、世界のボーダーコリーのクラブのサイトを、チェックしてみると、ISDS(The International Sheep Dog Society:UK) 、ABCA(The American Border Collie Association:US) 、the Border Collie Club of Great Britainにおいては、ボーダーコリーの健康問題として、PRAについてボーダーにおいては「CPRA」としているのですね。NSW(the Border Collie Club of New South Wales:AUS)にいたっては、CEAについては記述があるものの、PRAについては全く触れていません。
http://www.bccnsw.com/
http://www.isds.org.uk/
http://www.americanbordercollie.org/
http://www.bordercollieclub.com/

今現在もアクティブに受診されており、過去30年間に渡り実施されてきた有名なBVA/KC/ISDS Eye Scheme http://www.bva.co.uk/public/chs/eye_scheme.asp(ちなみに昨秋、ベンはUK滞在の折に、この検査を受けており、結果はノーマルでした)

これにより、イギリス全土における膨大な数のボーダーコリーが、定期的にアイチェックを受けてきました。その蓄積された膨大なデータをもとに、ISDS、KCともにボーダーコリーにGPRAの発症は「ない」と扱っていると考えられます。上記CERFにおいて、アイチェックを受けることが、浸透しているアメリカにおいても、ABCAやBCSA(the Border Collie Society of America)はISDSやKCと同じスタンスであると理解して良いでしょう。

つまり、、、現時点でもし私の犬が「PRAの疑いがあります」と診断されたなら、ことボーダーコリーという犬種については、上記の何千、何万頭というこのブリードを登録・管理している団体において「発症はない」とされている事実を先生にお話し、より精密、慎重な検査、診断を願うでしょうし、「FMAR等の後天性の疾患ではないのか?」「GPRAではなく、CPRA(Central Progressive Retinal Atrophy)ではないか?」と問うでしょう。

かつ、私の犬の祖先犬、繁殖犬の複数において「一貫した病態を示す個体群の存在」が明らかにならなければ、安易に「遺伝性」と断定すべきでないと肝に銘じました。なぜなら、この「断定」はこの犬種に関わる全ての人たちに「混乱」を引き起こすからです。

しかしその一方、絶対忘れてはならないのは「遺伝性ではない」という証拠もまた「存在しない」ということです。ですから、繁殖者としての自分は、もし「疑わしい」個体を持ったならば、以後の繁殖を慎重に考えなければならないということも、同様に理解しておかなければなりません。

ですが、、くどいようですが(笑)、私は私の犬が「GPRA」と診断されたら、食い下がりますね(^^;) 日本より格段にボーダーの登録があるUK、USでの研究・調査で、未だ立証されてない状況で、日本でいきなりGPRAが出るとは考え難いですから。。。セカンドオピニオンはもとより、サードオピニン、さらには海外にもコンタクトをとるかもしれません。「先生、本当にGPRAですか?間違いないですか?」「CPRAではないですか?」「あなたはもしかしたら歴史的な診断を下してるかもしれませんよ」と(^^;)

さて、次回はもう一つのPRA。CPRA(Central Progressive Retinal Atrophy)についてです。

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